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東京地方裁判所 昭和63年(ワ)18454号 判決

原告

畠山猛

ほか一名

被告

古市国夫

ほか一名

主文

一  被告古市国夫及び被告京橋運輸株式会社は、原告畠山猛に対し、連帯して四六七万二六九〇円及びこれに対する昭和六二年二月二六日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告古市国夫及び被告京橋運輸株式会社は、原告東北新興株式会社に対し、連帯して三五万二一四〇円及びこれに対する昭和六二年二月二六日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らの被告古市国夫及び被告京橋運輸株式会社に対するその余の請求並びに被告大島俊雄に対する請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、これを二分し、その一を原告らの、その余を被告古市国夫及び被告京橋運輸株式会社の各負担とする。

五  この判決は一、二項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは、連帯して原告畠山猛(以下「原告畠山」という。)に対して一一二二万〇二七二円及びこれに対する昭和六二年二月二六日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  被告らは、連帯して原告東北新興株式会社(以下「原告会社」という。)に対して九五万一〇〇〇円及びこれに対する昭和六二年二月二六日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

4  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  被告古市国夫及び被告京橋運輸株式会社

(一) 原告らの被告古市国夫(以下「被告古市」という。)及び被告京橋運輸株式会社(以下「被告会社」という。)に対する請求をいずれも棄却する。

(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。

2  被告大島俊雄

(一) 原告らの被告大島俊雄(以下「被告大島」という。)に対する請求をいずれも棄却する。

(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。

第二請求の原因

一  本件事故の発生

1  原告畠山は、昭和六二年二月二六日午前一時五〇分ころ、普通乗用自動車(袖ケ浦五五ぬ二六六九、以下「畠山車」という。)を運転して、高清水町方面から金成町方面へ向け国道四号線上を走行中、宮城県栗原郡築館町字城生野地蔵堂四三番地先に差し掛かつたが、被告大島は対向車線上をタクシー(宮五五い八九三四、以下「大島車」という。)を運転走行中であり、被告古市は、普通貨物自動車(大阪一二く五四五五、以下「古市車」という。)を運転して大島車のすぐ後を走行していた。

2  被告古市は、大島車を追い越そうとして一旦道路中央線を越えて対向車線側に出たが、畠山車に気付き、自車線に戻ろうとしてハンドルを左に切つたところ、大島車に追突し、その衝撃で大島車は対向車線に弾き出されて、畠山車に衝突した。

二  責任原因

1  被告古市及び被告会社

(一) 道路の左側部分を通行しないで無理な追越しをした(道交法一七条四項)。

(二) 大島車に追突するのを避けることができる必要な車間距離を保つていなかつた(道交法二六条)。

(三) 吹雪で視界一〇メートル、路面は凍結していたから、タイヤチエーンを装着して走行すべき道路状況であり、古市車にはタイヤチエーンが備え付けられていたのに、これを装着しないで走行し、他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転していなかつた(道交法七〇条)。

(四) 被告古市は、本件事故当時、被告会社の従業員として同会社の業務に従事中であり、古市車は同会社の所有するものであつた。

2  被告大島

(一) 道路の左側端に寄つて通行しなければならないのに、自車右側を道路中央線に沿わせて走行していた(道交法一八条)。

(二) 他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転していなかつた(道交法七〇条)。

(三) そのため、古市車の進行及び追越しを妨害することとなり、本件事故の発生となつた。

三  損害

1  原告畠山

(一) 原告畠山は、本件事故により単純性頭部外傷、大後頭部神経痛、外傷性頸部症候群(神経根症状を伴う。)、腰部打撲、頸椎捻挫、腰椎捻挫等の傷害を負い、治療のため入院四八日、通院一八二日(岩手県立北上病院五日、室岡整形外科医院一七七日)を要し、昭和六三年二月五日症状固定となつたが、神経系の障害による不定期、かつ、突然に起きる脚、腰、首の右側及び脊髄の激痛、恒常的な右脚、右肩、右腕の痺れ等の内的症状が残つている。

(二) 損害額

(1) 傷害のため支出した金額

〈1〉 日野外科内科 二万五九四〇円

〈2〉 岩手県立北上病院 一一六万一五四〇円

〈3〉 北上市室岡整形外科医院等 八一万八〇二〇円

〈4〉 花巻市鉛温泉治療所 二万八二一二円

〈5〉 市原市三里堂 三万六〇〇〇円

〈6〉 大沼義肢整形器製作所 九七〇〇円

〈7〉 その他 五万円

(2) 診断書等証明書料 三〇〇〇円

(3) 通院に要した交通費 三万四〇九〇円

(4) 得べかりし利益 八六四万一二五〇円

原告畠山は、本件事故当時、原告会社に勤務し、一か月四〇万円の給与を得ていたが、本件事故のため昭和六二年三月から平成元年九月まで三一か月間、全く給与の支払いを得ることができず、これにより得べかりし利益八六四万一二五〇円を失つた。

(5) 慰謝料 二〇〇万円

2  原告会社

(一) 原告畠山が運転していた畠山車は原告会社の所有であるところ、本件事故により大破して使用に耐えなくなつた。

(二) 損害

(1) 車両代 三二万一一四〇円

(2) 代車代

〈1〉 株式会社トヨタレンタリース岩手からの代車 八万一〇〇〇円

〈2〉 高橋土建からの代車 六六万円

〈3〉 その他からの代車 一八万円

(3) レツカー代 三万円

畠山車を本件事故現場から修理工場まで運んだ運搬費用である。

四  よつて、原告らは、被告らに対し、右損害金の内金と本件事故日から支払い済みまで民法所定の遅延損害金として、請求の趣旨記載の支払いを求める。

第三請求の原因に対する認否

一  被告古市及び被告会社

1  請求の原因一項については、本件事故の日時、場所、関係車両、その運転者、古市車が大島車に追突し、大島車が畠山車に追突したことは認めるが、大島車が対向車線に弾き出されたことは争い、その余は知らない。

2  同二項の1については、(一)ないし(三)は争い、(四)は争わない。

3  同三項については、1の(一)は、神経根症状を伴うとの点を除いて、傷病名は争わない。入院日数及び室岡整形外科医院への通院日数は争わない。昭和六三年二月五日症状固定した旨の診断がなされていることは認める。その余は争う。1の(二)の(1)の〈1〉、〈2〉は認めるが、〈3〉ないし〈7〉は知らない。1の(二)の(2)ないし(5)は知らない。2の(一)は認める。2の(二)の(1)は知らない。2の(2)の〈1〉は認めるが、〈2〉及び〈3〉は知らない。2の(3)は認める。

4  同四項は争う。

二  被告大島

1  請求の原因一項については認める。

2  同二項の2については否認する。

本件事故当時、吹雪で路面が凍結しており、視界が約一〇メートルと悪かつたことから、被告大島は、タイヤにタイヤチエーンを装着して時速約一五キロメートルで、道路左側をスリツプ等に注意しながら走行していたところ、大島車を追い越そうとした被告古市運転の古市車に追突され、その弾みで大島車が対向車線に弾き出されて、原告畠山運転の畠山車と衝突したものであるから、被告大島には何ら過失がない。

3  同三項については知らない。

4  同四項については争う。

第四填補

被告古市及び被告会社は、原告畠山の損害分として、昭和六二年三月五日に四万六六一〇円(原告畠山)、同年一一月一二日に二万五九四〇円(日野外科内科)及び一一五万一五四〇円(岩手県立北上病院)、同年一二月二四日に四〇万二八〇〇円(室岡整形外科医院)を支払い、原告会社の損害分として、同年一一月一七日に八万円(株式会社トヨタレンタリース岩手)を支払つた。

第五証拠

本件記録中証拠関係目録記載のとおりである。

理由

一  請求の原因一項のうち、本件事故の日時、場所、古市車が大島車に追突し、大島車が畠山車に追突したことについては当事者間に争いはなく、成立に争いのない甲第二四号証、原告畠山本人尋問の結果、弁論の全趣旨によれば、本件事故は、被告古市が、昭和六二年二月二六日午前一時五〇分ころ、古市車を運転して宮城県栗原郡築館町字城生野地蔵堂四三番地付近の国道四号線上を金成町方面から高清水町方面へ向かつていたが、当時降雪のため見通しも悪く、路面も凍結して車輪が滑走しやすい状況であつたため、時速約二〇キロメートルで走行していたが、前方を走行する被告大島運転の大島車の後方約一二メートルに追い付き、大島車をその右側から追い越そうとして、対向車線を走行する対向車両との安全を確認しないまま、漫然追い越しを開始し、追い越しを開始して初めて原告畠山運転の畠山車が対向して走行してくるのを前方約五七メートル地点に発見し、畠山車との衝突を避けようとして急制動の措置をとつたため、古市車を滑走させ、大島車右後部に古市車左前部を衝突させて、大島車を対向車線上に押し出し、大島車右前部を対向して進行してきていた畠山車の右側面に衝突させ、畠山車を道路右側の側溝に左側車輪を脱輪させたことが認められる。

二  請求の原因二項のうち、被告古市が、本件事故当時、被告会社の従業員として同会社の業務に従事中であり、古市車が同会社の所有するものであつたことについては、原告ら並びに被告古市及び被告会社との間に争いはなく、前記認定事実によれば、本件事故当時、降雪のため被告古市から見通しが悪く、かつ、路面が凍結して車輪が滑走しやすい状況であつたから、被告古市としては大島車の追い越しを慎むべきであり、敢えて追い越しをする場合には、対向車両との安全を厳に確認すべき注意義務があるのに、これを怠り、対向車両の安全を確認しないまま、追い越しを開始した過失があるから、被告古市は民法七〇九条、被告会社は民法七一五条、自賠法三条にもとづき、原告らが本件事故により被つた損害を賠償すべき義務がある。

前掲関係証拠によれば、被告大島は、本件事故現場付近に差し掛かつた際、後方から古市車が近付いてくるのに気付き、追い越していくものと判断し、その運転する大島車を左側に寄せ、前方を見ながら時速約一〇キロメートルで走行していたところ、後方から古市車に追突され、右前方に押し出されたため、対向車線にはみ出して畠山車と衝突したことが認められるから、大島車を対向車線にはみ出したのは、被告大島の行為にもとづくものではなく、被告古市の運転する古市車に追突され、対向車線に押し出されたため、古市車と畠山車との間に回避行動を取れる時間的余裕がなく、大島車は畠山車を回避できなかつたものであり、被告大島は、大島車の右前部のタイヤを除いて、タイヤチエーンを装着し、走行に何ら不都合はなく安全に走行していたものであるから、古市車が大島車に追突しなければ、そのまま安全に走行できたものと認められ、結局、被告大島には責任原因が認められず、原告らの損害を賠償すべき義務はない。

三  損害

1  原告畠山

(一)  成立に争いのない甲第二号証の一ないし八、乙イ第一号証、原告畠山本人尋問の結果、弁論の全趣旨によれば、原告畠山は、本件事故により右肩部打撲、単純性頭部外傷、外傷性頸部症候群、大後頭部神経症、右側胸部・腰部・背部打撲等の傷害を負い、昭和六二年二月二六日に日野外科内科(宮城県築館町薬師三丁目三番三三号)で治療を受け、その後、岩手県立北上病院(岩手県北上市黒沢尻町字町分二〇地割三八番地)に同年三月二日から同年四月一八日まで四八日間入院し、当初、原告畠山は、頭痛、項部痛、右側胸部・腰部・背部の疼痛を訴えていたが、薬物治療、カラー装用、理学療法等により症状が改善されたことから退院し、リハビリのため同月二二日から同年五月一九日まで通院したが(通院実日数五日)、その前後、室岡整形外科医院(岩手県北上市大通り三丁目五番六号)に転院して同年四月二四日から昭和六三年二月五日まで通院して治療を受け(通院実日数一七七日)、同年三月二日に頸部、腰部に頑固な神経症状を残し治癒した旨の診断を同医院で受けたことが認められる。

(二)  損害額

(1) 傷害のため支出した費用

〈1〉 日野外科内科 二万五九四〇円

原告畠山並びに被告古市及び被告会社との間に争いはない。

〈2〉 岩手県立北上病院 一一六万一五四〇円

原告畠山並びに被告古市及び被告会社との間に争いはない。

〈3〉 室岡整形外科医院 七八万九四〇〇円

成立に争いのない甲第七号証の二ないし六、原告畠山本人尋問の結果によれば、前記の室岡整形外科医院において通院治療により治療費として七八万九四〇〇円を要したことが認められる。

〈4〉 鉛温泉治療所 〇円

甲第二一号証の一ないし九、甲第三二号証の一ないし五、甲第三三号証の一、二、甲第三四号証の一ないし三、原告畠山本人尋問の結果によれば、原告畠山は、大沢温泉、鉛温泉で湯治をしていることになるが、前記の治療に加えて湯治を行わなければならない必要性、相当性は認められず、本件事故と相当因果関係があるものとは認められない。

〈5〉 三里堂 〇円

甲第八号証の一ないし三、原告畠山本人尋問の結果、弁論の全趣旨によれば、原告畠山は、三里堂(千葉県市原市根田四八四―四)で治療を受けていることになるが、前記の症状固定後のことでもあり、本件事故と相当因果関係あるものとは認められない。

〈6〉 大沼義肢整形器製作所 九七〇〇円

甲第二号証の二、原告畠山本人尋問により成立の認められる甲第一九号証、原告畠山本人尋問の結果によれば、原告畠山は、前記の岩手県立北上病院における治療において、カラー装用の治療を受け、そのコルセツト(頸椎装具C―一)代として九七〇〇円を要したことが認められる。

〈7〉 その他 〇円

原告畠山は、本件事故による傷害のため、必要性、相当性が認められる他の支出をなしたと認めるに足りる証拠はない。

(2) 診断書証明書料 三〇〇〇円

成立に争いのない甲第二〇号証、原告畠山本人尋問の結果によれば、原告畠山は、前記の室岡整形外科医院の治療に係る診断書代として三〇〇〇円を要したことが認められる。

(3) 通院に要した費用 〇円

甲第九号証の一ないし七、原告畠山本人尋問の結果によれば、原告畠山は、タクシーを利用していることになるが、前記の通院治療のためタクシーを利用しなければならない必要性、相当性は認められず、本件事故と相当因果関係あるものとは認められない。

(4) 得べかりし利益 二三二万円

成立に争いのない甲第三号証の一、乙イ第七号証、原告畠山本人尋問の結果、弁論全趣旨によれば、原告畠山は、本件事故当時、原告会社において稼働し、収入を得ていたことが認められるところから、甲第三号証の一には原告畠山の年収は四八〇万円とあり、乙イ第七号証によれば、原告畠山の源泉所得税は、本件事故後である昭和六二年一〇月二三日に、昭和六〇年一月分にさかのぼつて一括納付されたものと認められるけれども、年収四八〇万円は、賃金センサス昭和六二年第一巻第一表企業規模計男子労働者学歴計、年齢五〇歳から五四歳までの年収五三六万〇二〇〇円より低いから、原告畠山の年収は四八〇万円が相当と認められる。

甲第二号証の二によれば昭和六二年三月二日から同年四月一八日までは、原告畠山は、就労が全く不可能と思われる旨の記載があり、その後も、原告畠山は前記のようにリハビリ、室岡整形外科医院での治療などのため、就労が制限されたことが認められるところ、本件事故日から岩手県立北上病院を退院した昭和六二年四月一八日までは就労が全くできず、退院後から症状固定した昭和六三年二月五日までに、リハビリ等で徐々に労働能力を回復し、就労可能となつていつたものと認められるので、昭和六二年四月までは労働能力の喪失率を一〇〇パーセントとし、同年五月から七月までは五〇パーセント、同年八月から同年一〇月までは三〇パーセント、同年一一月から昭和六三年二月までは一〇パーセントとしてその得べかりし利益を求めるのが相当と認められる。

昭和六三年三月以降の原告畠山の得べかりし利益は、原告会社は事実上倒産していたのであるから、原告畠山は、原告会社からの収入を期待することはできず、また、原告畠山の症状固定後の神経症状が、原告畠山の労働能力を喪失させたと認めるに足る証拠はなく、慰謝料で考慮すれば足りるとするのが相当である。

右により原告畠山の得べかりし利益としては二三二万円が相当と認められる。

(5) 慰謝料 二〇〇万円

原告畠山の傷害の部位、程度、入通院期間、通院回数、後遺症の程度、年齢、性別、経済状態、弁護士費用等諸事情を考慮し、二〇〇万円が相当と認められる。

2  原告会社

(一)  原告畠山が運転していた畠山車が原告会社の所有であり、本件事故により大破し、使用に耐えられなくなつたことについては、原告会社並びに被告古市及び被告会社の間に争いはない。

(二)  損害額

(1) 車両代 三二万一一四〇円

原告畠山本人尋問により成立の認められる甲第一六号証、甲第一七号証、原告畠山本人尋問の結果によれば、畠山車の時価相当額は、三二万一一四〇円が相当と認められる。

(2) 代車代

〈1〉 株式会社トヨタレンタリース岩手からの代車 八万一〇〇〇円

成立に争いのない甲第一二号証の一、二、原告畠山本人尋問の結果、弁論の全趣旨によれば、原告会社は、本件事故により畠山車が大破したため、仕事の都合上等から株式会社トヨタレンタリース岩手で代わりの車を借りる必要があり、その借用代として八万一〇〇〇円(レンタカー使用証明書代を含む。)を要したことが認められる。

〈2〉 高橋土建からの代車 〇円

甲第一三号証の一ないし六、原告畠山本人尋問の結果によれば、原告会社は、高橋土建から車を借りたことになるが、畠山車に代わる車を、取得する方法によらず、借り入れの方法を取り続けることの必要性、相当性が認められず、本件事故と相当因果関係あるものとは認められない。

〈3〉 その他からの代車 〇円

甲第一五号証の一、二、原告畠山本人尋問の結果によれば、原告会社は、有限会社オリエンタル自動車から車を借りたことになるが、その必要性、相当性が認められず、本件事故と相当因果関係があるものとは認められない。

(3) レツカー代 三万円

原告会社並びに被告古市及び被告会社の間に争いはない。

四  填補

成立に争いのない乙イ第一号証ないし乙イ第六号証、弁論の全趣旨によれば、被告古市及び被告会社から、原告畠山は、昭和六二年三月五日に四万六六一〇円、同年一一月一二日に二万五九四〇円(日野外科内科)及び一一六万一五四〇円(岩手県立北上病院)、同年一二月二四日に四〇万二八〇〇円(室岡整形外科医院)の支払いを受け、原告会社は、同年一一月一二日に八万円(株式会社トヨタレンタレース岩手)の支払いを受け、損害の填補を受けていることが認められる。

五  よつて、被告古市及び被告会社に対し、原告畠山は、四六七万二六九〇円、原告会社は三五万二一四〇円と、これらに対する本件事故日である昭和六二年二月二六日からそれぞれ支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で原告らの請求は理由があるから、これらを認容し、その余の原告らの請求は理由がないのでいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法八九条、九三条を、仮執行の宣言について同法一九六条を、それぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 原田卓)

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